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Virus 36
2007/04/14(Sat)
 通された部屋は、四畳半くらいのキッチンと、その向こうに八畳ほどのフローリングの部屋。そのどの壁紙も白、クローゼットの扉も白で、家具は木目のわかる薄いブラウンで統一してある、小綺麗な部屋だった。
 そのフローリングの部屋にふたりは通された。真ん中にはガラステーブルが置かれて、その下に薄い浅黄色のカーペットが敷かれてあった。クーラーはついていない。かわりに窓が大きく開かれ、白いレースのカーテンが風に揺れている。
 二人を座らせ、美可はキッチンにはいる。
何か軽く硬質な物がぶつかる音がして、それから盆の上に茶色の液体がそそがれたグラスを三つ乗せて彼女がもどってきた。
「麦茶しかないけど」
 よかった?と言って各々の前にグラスを置く。
「ええ。すみません」
 中田はそう言ってグラスを傾けた。キンキンに冷えた液体が喉を通り胃壁を伝うのは、美可には悪いが、実のところ少し気持ちが悪かった。先ほどペットボトルの水のぬるさに残念がったばかりだというのに、おかしな話ではある。
それが顔にでてしまったのか、彼の前に対座した美可がクスリと笑みをこぼした。が、それも一瞬のことで、すぐに表情がひきしまる。
「伯父からだいたいの話は聞いてますが、今更どうしてです?」
 彼女にもまた、手放しで捜査再開を喜べない事情があるのだろうか。
 杏子は言う。
「私たちは時効寸前未解決事件の洗い直しを行っている者です。事件当時に解決不可能とされたものでも、ちょっとした事情の変化によって数年後には解決できるケースも少なからずあります」
「科学の発達とかですか?」
 言葉の内容は相槌ではあるが、美可の表情はせせら笑うようであった。
 しかし杏子に少しも怯む様子はない。
「それもひとつです。今回の場合、エルトリアとの国交が開かれた。これは大きいと考えています」
「七年間、何の返答もよこさなかったあなた方が、やっと動いてくれるというのですから協力はします。もともと、こちらがお願いしたことですし。あの子のために……」
 美可は、それっきり口をつぐんだ。
 中田も杏子も言葉がでない。
 カランと硬質な音を立てて、グラスのなかの氷が動いた。

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