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Virus 31
2007/03/25(Sun)
 中田はテーブルの真ん中に置かれた写真に眼をおとした。そこには母親らしき人物は写っていない。
「北沢さんは、おふたりがまだエルトリアにいるとお思いですか?」
 杏子は視線を外さずに問い掛ける。
「わかりません。日本にいるのか。エルトリアにいるのか。それとも、もっと別の国なのか」
「亡くなっている、とも考えられますが?」
「それならそれで、これからの私の人生で捜索にあてるはずだった時間がもっと別のことに使えますから」
 その言葉にひっかかりを感じながらも、中田は自分からも質問をした。
「見つけ出したら、ふたりの身柄はどうしましょう?」
 それに応えたのは大久保だった。
「君たちには日本時間の十三時に定時連絡を入れてもらう。基本的にはどちらかが直接ここに出向いてもらうことになるが、海外に出ていた場合など、それが不可能な場合は電話ないしメールでも可とする。その際に報告してくれ。その後はこちらで対処を検討する。高度に政治的問題になるかもしれんし、それは北沢氏にも了解してもらっている」
 北沢は頷く。
「それに、あいつらにはあいつらの生活もあるでしょうし」
 物分りがよすぎる。それが、先ほど感じたひっかかりの正体だと中田は気づいた。
 北沢はふたりの安否を気遣い、心労に耐えているように見える。それは国土にまで依頼してきたのだから、余程の想いだと思っていた。実際、某国の拉致被害にあった家族は何がなんでも日本に返してくれと二十年もの間辛抱強く訴え続け、それで再会することができたのだ。それなのに、この物分りの良さは何なのか。
 中田がいぶかしんでいるのをよそに、残りの三人で、今日のところの話は終わったようだ。

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