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Virus 30
2007/03/21(Wed)
 エルトリア――その単語に肩がビクっと反応したのを中田自身自覚できが、それを大久保がじっと見つめていたことには気づかなかった。
「ここ最近なにかと話題になっている国ですね」
 そう言ったのは杏子だ。
 三ヶ月前の皇室秘宝展、成田での皇太子暗殺未遂――そう未遂だった。皇太子は療養中であるものの、今も存命である。それはテロから数日経ってから発表された、エルトリア皇室からの正式な声明である。
 では、日本の監察医たちが診た皇太子の遺体は何だったのか。どうしても織倉一季との関連を考えてしまうが、今となっては確かめようもない。
 北沢の話はつづく。
「栄二は最初、そこの皇立研究所に客員研究員として招待されたんです。そのすぐ後に研究所をひとつ任されたという連絡があり、それで絵里を連れてエルトリアに移住したのですが、それっきり音信不通になりました。もう九年になります」
 北沢の語る口調は淡々としていたが、眉間には深い皺が刻まれていた。
「栄樹さんは外務省を通じて、エルトリアにふたりの捜索願をだしたんだが、行方不明という回答を七年前にもらったきりだそうだ」
 そう付け加えたのは大久保だった。
「美可さんは、東京に今もいらっしゃるということですが?」
 杏子が眼の前のファイルを開いて、北沢に眼をやる。
「ええ、豪徳寺にいます」
先と同じ回答だ。大久保に言われて北沢は美可の現住所を紙に筆記した。
「どうして、絵里さんだけエルトリアに?美可さんには行けなかった理由でも?」
「栄二がエルトリアに研究所をもらう前後に加奈子と離婚しまして。ああ、加奈子というのは栄二の妻だった女です。原因はわかりませんが、移住の件も無関係ではなかったと思います。結果として、あの子たちは別々に引き取られ、絵里は栄二のもとに残った。そういうことです。親の勝手な離婚で、かわいそうに」
 北沢は両の手のひらで顔を覆った。

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