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Virus 27
2007/03/02(Fri)
 重い足取りで監査部管理官室に戻ると、同僚の柊警部が何やら意味ありげな笑い方をしていた。
「何かいいことでもあったんですか?」
あいさつがてら尋ねると、中田の隣まできて杏子に聞こえないよう耳打ちしてくる。
「なんだ、知らんのか?我らが管理官殿、異動だってよ」
 警部はことさら上機嫌だ。だから言ってしまった。
「その監理官殿への生贄になった者の気持ちがわかりますか?」
 すると警部は大きく口を開けて表情を凍結させてしまった。
 中田がよろよろとデスクに座ると、しみじみとした顔で肩を叩いてくれたが、何の慰めにもならなかった。
 入れ違いに杏子が傍に寄ってきた。中田の右肩越しに机に手をつく。
「ふた~りで何の話してたか知らないけど、その態度。かわいくないなぁ。もっと喜べ」
 あなたに態度のことを言われたくない、と叫びたい衝動に駆られたが、それを押し殺して別の話題を振った。
「赤坂と塩見は、どうなったんですか?」
 中田の向かいとその左隣のデスクは無人だった。
 耳元で唾を飲み込む音がした。
 柊警部は吸いかけの煙草をまた口にくわえて、中田から視線をはずす。
 応えは頭上からあった。
「赤さんは重傷。キミの隣の病室だった。塩見クンは……死んだわ」
 初夏の眩しい日差しが射し込む中、最後の単語だけ、それだけが妙に生々しく響いた。

 それからの一週間、中田は転属にあたっての引継ぎと諸々の作業で休む間もない忙しさの中にあった。
その間に赤坂の見舞いにも行ったのだが、下半身不随を通達された本人がいたって元気そうに振舞っているのが痛々しく、かける言葉を失った。
また、塩見の葬儀には杏子と柊警部とで出向いたのだが、式後に彼の母親に人殺し呼ばわりされた杏子の横顔ばかりが彼の心に深く突き刺さった――。

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