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Virus 23
2007/02/11(Sun)
美術館を出ると、辺りは夜の帳と絶え間ないノイズに包まれていた。人間の足音、ざわめき、車のエンジン音、クラクション……。車のヘッドライトの光輪が次々と現れては辺りを照らし、過ぎ去っていく。その度にふたりはシルエットになった。
「電話だ。誰だろ?」
 不意につぐみがジャケットの胸をおさえ、一季からはなれた。「そこにいてよ」と言い残し、近くの街灯に歩み寄る。ジャケットの内ポケットから携帯電話をとりだすのが、一季の位置からも見えた。ハンスから帰宅の催促だろうか
 話す相手を失って手持ち無沙汰になった一季は、とりあえず傍のガードレールに腰掛けた。梅雨入り前の宵の口は、まだ肌寒い。彼は上着のボタンをひとつひとつ留めながら、空を見上げた。東京の夜空には星がないと言うが、上野公園周辺でもこの辺りは明るいライトもネオンも乏しく、新宿の見慣れた夜空より幾分か星の数が多いように思えた。
 と、近づいてくる足音に気付いて視線を下げると、つぐみが一季を見上げていた。
 心なしか表情が硬い。すがるような声で、ねぇねぇと上着の裾をひっぱってくる。
「ん?終わった?塾長、なんだって?」
 と訊くと、つぐみは口唇(くちびる)をつきだして眼を背けた。
「パパじゃなかった。――なんか、はぁはぁ言って『お嬢ちゃん、今日のパンツの色は何かなぁ?』だって。キモチワルイ」
 一季はガードレールから立ち上がり、つぐみの頭をやさしく叩いた。
「イタズラだよ。気にしないほうがいい」
「うん」
「また掛かってきたら、塾長に言って番号変えてもらえばいいよ」
「うん」
 返事はするものの、やはりいつもの元気がない。やはり女の子には相当ショックであるらしい。
一季は何とかつぐみの機嫌を直そうと夕飯に誘ってもみたが、パパが心配するから、と断られてしまった。
困ってしまった一季に、慰められる側であるはずのつぐみが助け舟をよこす。
「じゃ、お菓子、買ってよ。そしたら元気になったげる」
 外食する時間はないけど、お菓子を買うくらいの時間はあるよ、とも加えた。
 それで元気になってくれるならと、ふたりはアメ横に寄っていくことにした。
 自分の数歩先ではしゃぐつぐみを見るとハメられた気がしなくもないが、一季はそれでよかった。子供が鬱になっているよりは、ずっと良いにちがいない。
 小道に入って、一季は周りに注意を払うようにした。つぐみが近道だ、と教えてくれた道だが、夜に歩くにしては街灯が少なすぎた。充分に大人と言える年齢の一季でも、ひとりで歩きたい道ではない。それに先の電話のことも気になる。つぐみにはイタズラだと言ってはおいたが、子供を狙ったチカンやストーカーの類とも考えられるのだ。電話をとったつぐみを『お譲ちゃん』と呼んだというのだ。電話の声だけで『お譲ちゃん』の年齢と特定できるだろうか。そう考えると、一方的にしろ、つぐみを知っている人間の犯行に思えてくるのは考えすぎだろうか。と、自分たちの十数歩後ろをピッタリと追ってくる足音があることに気付いた。偶然でも、こんな暗い道で一定距離を置いて後ろを歩かれるのは、やはり気味が悪い。
「つぐみ」
一季は後ろを振り返り警戒しつつ、つぐみを呼ぶ。
 返事はなかった。

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2007/02/12 19:23  ラクラクバストアップ!!! かんたんバストアップで豊胸だよっ♪
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