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Virus 21
2007/02/08(Thu)
空は急速に暮色を増し、三日月が輪郭を際立たせて銀色に輝いている。洒落た街灯の光が路上に道行く人の影を濃く投掛けていた。
その建物は優に三メートルはあるであろう高い塀に囲まれていた。門はひとつだけで、門柱には金色の文字が刻み込まれている。
――エルトリア大使館。
白いセダンが滑り込もうとするのを守衛が止めた。
窓が半分ほど下がって、運転席の金髪の青年が守衛を睨むように顔を覗かせた。ハンスだ。
「大使にとりついでくれ。ルロイがきたと」
「少々お待ちを」と言って、守衛はハンスの方を横目で気にしながら内線を繋いだ。受話器に二言三言交わすと、事務的に右手のほうに車を停めるように指示してきた。
 ハンスは大使館の出入り口になるべく近いところに停めると、おもむろに車を降りた。
 空気が冷たい。
 彼は守衛が自分のことを監視するのを眼の端で確認しながら階段を登った。
 ふと、ドアの前で一度歩みを止め、一度振り返る。大使館の敷地には黒塗りの車しかなく、彼の白いセダンはこんな宵の入りでも目立っていた。
彼は一瞬眼を細め、それから頭を戻して、ノブを回した。
 豪奢なシャンデリアが照らすエントランスをぬけ、赤い絨毯の敷かれた階段を登った先に駐日エルトリア大使の執務室はあった。
 中に入ると、ハンスに背を向ける形で、バルコニーに面した大窓から外を眺める男がいた。大窓から指す落日の残光が、その男の影をハンスの足元までのばしている。
「暇そうですね、ゴードン大使。もっと忙しそうにしていないと、怪しまれますよ」
「それは迷惑だな」
 しかし、ゴードンはハンスの言葉の意など全く介してないかのような無表情で振り返った。

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2007/02/09 21:12  | | #[ 編集] ▲ top
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