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Virus 120
2009/01/25(Sun)
 数拍をおいて表に姿を現したのは、白髪まじりの髪を後頭部で団子状に結わえた初老の下女であった。
「スージー、母上は起きておいでか?」
 皇太后はユーリルの死後、心身症で床に臥せっている日が多い。単に我が子を殺めたアリウスに会いたくないだけの虚言の可能性も大きいが、どちらにしろ義理の息子に会う気がないことは変わらない。今日も、下女は首を横に振った。
「昨日はお山の廟まで、お散歩なさったのですが……」
 お山の廟とは内宮敷地内にある、皇家の墓である。ここに来る時に越えた丘にある。反逆の旗頭にされたユーリルも、今はここに眠る。
「この暑い中、ずっと離れずにいらしたようで、お熱が」
「そうか」
 嘆息してアリウスは腕に下げていた籠を前に掲げた。
 上に被せておいた薄紫色の布を外すと、黄色の色彩と瑞々しい柑橘系の香りが鼻腔をくすぐる。
「母上、好きだったであろう?」
「オレンジですか?ええ、ええ。喜びます」
 スージーはエプロンの裾で何度も手を拭ってから受け取った。
「陛下のお心遣い、必ず奥様に届きます」
そう言う笑顔のスージーに、アリウスは困ったような顔をして応えた。
「私からの、とは言わない方がいいな」
「そうでしょうか?そうかもしれませんが、よろしいのですか?」
 アリウスは苦笑して馬に跨がった。

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