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Virus 115
2008/11/30(Sun)
 エルトリアの外務大臣は、名をコンラッドといい、年齢は五十手前、爵位は子爵。以前の貴族政治の頃は侯爵家相当の家柄の者が歴任していたが、二十世紀にもなれば、こと外交のトップは能力も実績もある者が選抜されて職に就くようになった。とはいえ、貴族政治の名残や、彼らの反感を鑑みて、その者が市民階級の出であれば子爵ないし男爵の位を与える事になっていた。この爵位は基本的に一代限りで、領地もないので、本当に名ばかりのものである。
 このコンラッドも平民の出で、外務局に十八年勤務してアリウスの治世で外務大臣を拝命するにあたり爵位を頂戴した。
 そのコンラッドがグレーのサマースーツに朱のネクタイという出で立ちで謁見の席で待っていた。今日もオールバックの髪型に少しの乱れもない。
 アリウスが部屋に入ると、椅子から立ち上がって右手を心臓の上にし、腰を折る。隣の席に座っていた頬髯の男もそれに習った。
 この男が在日ゴードン大使であろうか。アリウスは初見であった。
「よい」
 アリウスは上座に着く前に右手をあげ、座るよう言った。
 が、二人とも腰を下ろす気配がない。
 苦笑してアリウスが座ると、ふたりもようやく座ってくれた。
「コンラッド卿、その者か?」
「は。在日大使を任せております」
 コンラッドが頬髭の男を紹介する。年齢はコンラッドより幾分上に見えるが、それは籾上げから顎まで続く髭のせいであろうか。
「ゴードンと申します」
 日本のエルトリア大使館は、今年の国交開始に合わせて、港区の埋め立て地を買い取って建てられた。歴史があるとは言え、エルトリアほどの規模の国では異例の大きさで、マンションの一室を大使館替わりにしている国もあると言えばわかりやすいであろうか。建物も本国から解体して持ち込んだ物を組み立てたということで、建築家の間で少しの間だが話題になった。
「遠路ご苦労。久しぶりの故郷はくつろげたか?」
 アリウスはまず労った。
「家内のシチューは絶品だと再確認したところです」
「けっこう。大使は愛妻家であるのだな」
 アリウスが肘をついて微笑したところを、後ろから軽い咳払いが聞こえた。振り返らずともわかる。アリウスの左斜め後ろ、黒服黒髪の補佐官のクラウスだ。彼はアリウスが幼少の頃からの世話役である。
「本題に入ろう」

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2008/12/01 19:16  | | #[ 編集] ▲ top
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