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Virus 107
2008/08/03(Sun)
「東欧の王国、か。行きたかったな〜」
 宮崎との電話を切ったあと、通話終了の文字を見つめながら、杏子は呟いた。
「別に、行けないと決まったわけじゃないですか」
運転席の天崎が両手をハンドルに乗せて、その上に顎まで乗せた状態で言った。
「いや、あんたのその態度から、そんな前向きな意見が聞けるとは思わなかったわ」
「自分は元々エルトリアに行くことになってなかったですからね。他人には優しいんですよ、自分」
 天崎は杏子をチラリと一瞥して、また視線を前に向けた。
 視線の先には、パトカー数台と数人の制服警官が、四台前を徐行する大衆車を代表する白のセダンを誘導していた。
「でもなぁ、捕まるのは御免被りたいんですよね」
「勝手ねぇ。ま、捕まってもすぐ解放されるわよ。あんたは」
「それでも、と思っちゃうわけですよ」
 ブレーキから足を外し、車を前に出して、また停める。
「あと、三台ですね」
「そうね」
 どうでもよい会話。
それから杏子は、前髪を指先で摘んでは離し、摘んではそれをくるくると巻いた。
「あの子たち……」
「え?」
天崎が聞き返す。
「いや、あの子たち、成田に着いたかな?」
「宮崎さんでしたっけ?あの制服の娘」
「手、だすなよ」
「はは」
 天崎は乾いた笑いでこめかみを掻いた。
「幸い宮崎さんは制服で同乗しています。ふたりがよほど大根じゃなければ切り抜けられますよ。本店の電話はいまだに未開通です。確認の連絡もとれないでしょうから。――ケータイ通じて良かったですね」
杏子がもう一度ケータイを開く。電波強度を示すアンテナは二本。
「ほんと、他人のことになると優しいね」
「唯一の美点ですから」
 天崎がブレーキペダルから足を浮かせる。検問の順番がまわってきた。
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2008/08/04 22:34  | | #[ 編集] ▲ top
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