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Virus 99
2008/05/05(Mon)
「でも、その子が嘘を言ったとも思えないわね。現に私たちは明日警察の厄介になりそうなわけだし……」
「先に出頭しますか?」
 杏子の返答に中田が問いかける。
「それは駄目」
「よくないな」
 杏子と大久保の言葉が重なった。
 どちらを見たらいいかわからず、中田は視線をふたりの間で往復させる。
 その間、杏子と大久保は互いに「どうぞ、どうぞ」と譲り合いをしたが、それも短い間で、結局、杏子が先に口を開いた。
「さっきのMOの内容を知っている人間。当然、送ってきた人間は中身を知っているわけじゃない?」
「運び屋とかじゃなければ、そうですね」
「仮定の話だけど、キャシーが何らかの目的で私たちを足止めしたくて、警察に通報したとは考えられない?いくら国土の人間でも、監禁されればそこから動けない。だから、私たちに犯罪の鍵になるMOを渡して、走らせるようにしむけた」
「しかし、通報するタイミングが――ああ、そうか。停電ですね」
 中田は頭上の蛍光灯を見た。
「そう、これだけ大規模な停電を起こすプログラムだもの。停電それ自体が、いつMOを走らせたかすぐに教えてくれる。もしくは、大規模停電を私たちの名前で予告しといたのかもしれない。最初は馬鹿げた話と一笑に付されたとしても、いざ起こったら警察は慌てて私たちを尋問してくるでしょうね」
「おそらく後者だろうな」
 大久保が渋面をつくって頷いた。
「令状が降りるのに時間が短かすぎる。ひょっとすると、幹部にスパイがいるのかもしれん。あの国に関しては、皇太子の件もあるしな」
 初夏に起こった、成田でのエルトリア皇太子暗殺未遂。そう、未遂で事件は終わった。かわりに織倉一季という皇太子に酷似した青年を闇に葬って。
「加えて言うなら、令状が降りての監禁となれば、いかな国土でも、連れ戻すのに少々時間がかかるな」
「つまり、捕まるわけにはいかない。そういうことですか?」
 中田は大久保を見た。中田の名前は正義。名は体を現すというわけではないが、彼としては、曲がったことはしたくない。中田は、大久保の口から『警察で釈明して来い』というような内容の言葉を期待した。
 杏子も他のスタッフも大久保の次の言葉を待っている。
 大久保は両の眼を瞑った。その顔に深く刻まれた皺は年のせいか。それとも、迷いか苦渋か。
 やがて、彼はゆっくりと眼を開いた。
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