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Virus 93
2008/03/23(Sun)
「交通管制システムのダウンや停電の拡がったタイミングとも、おおよそ合うな」
 大久保が近くの椅子に倒れこむように身を預け、天井を見上げた。
「なんてことだ」
 その嘆息は、この部屋にいる全員の代弁であった。
 しばらく重い沈黙が続いた。
そこに、パンパンと手のひらを叩く音がした。
「確かに、なんてことだ、よ。でも、これは仮説のひとつ。確定じゃない。それに……」
 ひとり杏子は、眼を輝かせていた。
「まず、なぜ、キャシーは自分でやらずに、わたしたちにプログラムを渡したのか。自分でやれない理由があった。もしくは、私たちにやらせた方が都合がよかったってことでしょ?なぜ?」
「発信源が割れれば、自分の犯行だとバレるから、ですか?」
 中田の回答に、杏子は頭を振る。
「発信源を特定されたくなければ、その辺のネカフェでやればいいことじゃない?」
 ネットカフェや漫画喫茶。21世紀日本をある意味代表するこのふたつは、いまや日本中に溢れている。チェーン展開している店舗では会員制の所もあるが、サインも不要で入店できる所も少なくない。また会員制にしても、連絡先を偽って記載することは簡単であるし、匿名で掲示板に書き込みをしたり、プログラムを走らせるには打って付けなのだ。
「思い出して、キャシーは何て言ってMOを渡してきた?」
 杏子に問われ、中田は新宿での会話を思い出す。
「確か、公安に揺さぶりをかけた、と」
「言ったわね。それから?」
「案の定、我々が出向いてきてくれた、とも」
「そう!」
 杏子は右の人差し指で中田を指差す。
「あの女は、私と中田クンが警察にいたころに会っている。その後の異動は警察でもほんの一握りしか知らないはずなのに、なぜか国土にいることを知っていて、そして、あの場面に誘き寄せ、ディスクを渡してきた」
「つまり、警視と私を犯罪者にしたかったってことですか?織倉一季の護衛に失敗したから、復讐とか?」
「考えられなくはないけど、たぶん……」
 杏子が言いかけたとき、ドアのほうで「あのぅ」という声とノックがした。ドアといっても、この暑さで閉める気にもならず、ストッパーまでかけて盛大に開放してあるから、ノックした事務官も、その後ろに控えめに、しかし息を切らせて佇む女性もすぐに眼にはいった。
「宮崎さん」
「ケーコちゃん!?」
 中田と杏子の声が重なった。
「お久しぶりです。飯野管理管、中田先輩」
 制服の女性警官が息を整えてから、小首を傾げるようにしてはにかんだ。
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