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Virus 10
2006/12/28(Thu)
 電話のけたたましい呼び出し音がなったのは、それから十五分程過ぎたあたりだった。
「はい。外国語学院のE.R.I.S.です」
 電話をとったのはつぐみだった。
「あ、一季クン?」
 その発せられた名前に、杏子は中田に目配せをする。
「うん。あ、お姉ちゃんにかわるね」
 はい、と受話器をキャシーに手渡すと、ててて、と杏子に近寄ってきた。
「一季クン、遅くなるんだって」
 拗ねた様子でポンッとソファーに跳び乗ると、つぐみは誰にともなく話しかけてきた。
「一季くんて、ここの偉い人?」
杏子は身を屈めて、自分の眼の高さをつぐみのそれの合わせる。
「え?ん~ん。違うよ。あたしの家来!イソーロー!ビンボー!」
 きゃはははは、とつぐみは足をばたつかせた。
 そこに電話を終えたキャシーが申しわけなさそうな顔で戻ってきた。
「大変失礼しました。塾長を迎えに行った子からだったんですが、渋滞にまきこまれたとかで、もうしばらくかかるみたいなんです」
 塾長を迎えに行った子というのが、一季であろう。塾長が帰ってくるまでしばらくかかるということは、つまりは一季も当分ここには現れないということだ。杏子はしばらく考えこむようにしてから、隣のショルダーバッグを手にして立ち上がった。
キャシーが事務手続きに関してわからなかったのは好都合と言えた。それを理由にこの場を離れられるからだ。二人とも成田での惨劇が気になって仕方ないのだ。
「それでは、また日を改めて伺わせていただきます」
 そう言った杏子に倣って中田も立ち上がった。
「中田クン、またね」
 手を振るつぐみに、ああ、と振り返してから、ふたりはその場を後にした。

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