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Virus 86
2008/02/04(Mon)
 一拍置いて、スプリンクラーが大量の水を噴き出した。
「どういうタイミングよ!」
 結局、宮崎もワイヤーをつたって降りるしかなくなった。
 宮崎もワイヤーにしがみつき、タオルを巻いた右手を上に、同じくもう一つの端を巻いた左手を下にした。
 まず左手に力を入れて、右手をそのすぐ上にくっつける。次に右手に力をこめて、左手を下にスライドすると同時に身体も降ろす。少女はそのようにして降りていったはずだ。宮崎も初めは見よう見真似でそれを繰り返していったが、どれだけの階層に降りただろうか、途中で握力の限界を意識した瞬間に汗で滑った。急速に落下する感覚が襲う。
それから先は覚えていない。気がついたのは冷たい金属の上で、少女が覗き込むようにしていた。
「あ、気がついた」
「ここは?」
 そこまで言って少女の手元に十五センチメートルほどの金属の光沢を認め、腰をついたまま宮崎は後ずさった。
と、その拍子に、手に何かが当たると同時に少女を照らしていた光が横にぶれた。光源だったケイタイを転がしたらしい。
「なにやってるの?」
 少女が、溜め息をついて宮崎の側によってくる。
「あんたこそ!何持ってるのよ?」
 さらに一回後ずさって、背中に壁の硬質な冷たさを感じた。
「ああ。はい」
 少女は一度手の物を見つめ、それから納得したのか、器用にくるりと柄の方を宮崎にむけて差し出した。
 宮崎はケイタイを左手で掴んで、右手でひったくるよう受け取る。
 ケイタイの液晶の光に照らすと、刃物の正体がわかった。タグまでついている。
『グラディウス公開記念ペーパーナイフ。三千八○○円』
「……」
「お土産よ。隣の第二シアターでやってるでしょ?」
 確か、古代ローマの剣闘士を主役にした戦記ものだ。
 宮崎は無言で頷いて、ペーパーナイフを返した。
 少女は、ケイタイの位置を先の場所び戻すと、受け取ったペーパーナイフを逆手に壁の割れ目に突き立てた。
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