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Virus 85
2008/01/27(Sun)
 二秒、三秒……。しばらくして、落下の衝撃がカプセルを割って、小銭がはじけ落ちる音が響いた。かなり下階で停止しているようだ。
 少女はその音を確認してから、若干考えるような素振りを見せると、今は無人の売店の中に足を運んだ。普段なら、ポップコーンやドリンクを販売しているコーナーだ。
彼女はそこからタオルを数本持って来た。そのうちの二本を宮崎に放ってよこす。
「何をさせる気?」
 受け取ったタオルは、厚手で湿っていた。きつく絞ってあるらしい。
 少女は先刻見ていたケイタイ端末の画面を宮崎に見えるようにした。
 暗い館内に慣れていた眼に、バックライトの光が眩しい。文字が読めるようになるまでには少し時間がかかった。
 画面にあるのは、定時で内容が更新されていくニュースサイトであるらしい。数列に渡って文字が並んでいる。表示されている時間は、今から三○分程前だ。
「二番目」
 少女はそう言って、ぐいっと端末を宮崎に近づけた。
――港区湾岸の大規模ショッピングセンターで火災発生。
 他にも、広範囲に停電が続いていることなどが、眼にとまった。
「港区?ショッピングセンター?ここ?」
 宮崎は反芻した。
「わからない。ショッピングセンターなんていくつもあるし。でも湾岸だし、可能性は高いと思う」
 少女は端末をポシェットに戻すと、手首にタオルの端を結びつけ、天井のでっぱりを見た。今はパイロットランプが緑色に点灯している。
「もし、そうだったとして、いずれ煙は上にくる。ここじゃなかったとしても、停電でシステムが誤動作したこの建物のセキュリティが火災報知器に連動した消火システムを稼働させたら、二酸化炭素が充満した中でスプリンクラーの水に打たれることになる」
「想像力、豊なのね」
 宮崎は口の端を片方つり上げつつも、同じようにタオルを結んだ。
「消火システムについては本当だし。セキュリティシステムがおかしなことになっているのも事実。大規模な停電が起きているみたいだから、他もこんなことになっているトコはいっぱいあるでしょ。いつ来るかわからない救助を待って溺死体になりたくない」
 そう言って少女はポシェットとタオルの結び目を確認すると、軽く助走をつけてエレベーターのワイヤーに飛びついた。
「あとは好きにしなさい」
 言い捨てて、きつく絞ったタオル越しにワイヤーを掴むようにして降りていく少女。
それを見送る宮崎の後ろで、非常ベルがけたたましい音を響かせた。

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