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Virus 84
2008/01/20(Sun)
「せっかくの休暇なのになぁ」
空の見えない映画館のホールで、宮崎はひとりごちた。
ついさっきホールについた宮崎と少女はふたりがかりでエレベーターの扉を開け、その扉の向こうの黒々とした闇を確認するや、臨時の相棒は「エレベーター前で待っていろ」そう言い残して数分前に姿を消した。非常灯の緑の光だけに照らされた無人のホールが、どことなく薄気味悪い。
コツ、コツ――。
軽い足跡だ。
宮崎は顔を上げた。
少女は何か丸いものを手に戻って来た。
「おかえり。何?それ」
 宮崎はその手の物を指差す。
「ガシャポン」
 少女はそれだけ言って、手を開いた。
 透明の半球と、色付きの半球。薄暗い緑の非常灯の中ではわかりにくいが、赤っぽいように見える。とにかく、中身をすでに抜き取られたあとのカプセルのようだ。
「ほしいもの当たった?」
 かわいいところもあるんだな、と微笑ましく思って訊いた杏子だが、
「重しになるようなもの、ある?」
 無視されたようだ。
 杏子は眉根を寄せつつ、バッグの中をまさぐる。
 中に入っていたのは、財布にケータイ、ハンカチと先ほど買った口紅。化粧ポーチ。それから警察手帳。
「ホントに警官だったんだ」
 少女は、財布の小銭入れを開け、中身をガシャポンのカプセルに流し込む。
「命の値段にしては、安すぎると思うけど……」
「ちょと」
 宮崎の静止する声も空しく、彼女はカプセルの上下を合わせて球状に戻した物を、エレベーター向こうの闇におもむろに落とした。
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