2017 08 ≪  09月 123456789101112131415161718192021222324252627282930  ≫ 2017 10
スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
Virus 82
2008/01/06(Sun)
「サイバーテロ……!?」
「まさか」
 誰かが言って、誰かが応えたが、誰の頭の中でもI.T.HAZARDの記憶は新しい。
 と、突然テレビの画面が暗転した。
 中田は額から頬へ汗が流れ落ちるのを感じた。ハンカチに手をやりながら見ると、到着したばかりの大久保はもちろんだが、天崎の首筋にも汗の玉がいくつか浮かんでいる。
「冷房も切れた?」
「朝、点けたんですけどね」
 と、天崎。彼は壁際の冷房のリモコンを手に取る。が……。
「あれ?」
 彼が何度かエアコンにむけて操作するも、送風口の板が動く様子はない。注意して見れば、停止時でも赤に灯っているはずのパイロットランプが消えていることに気付く。
「また、停電かしらね」
 杏子はエアコンのリモコンと反対側の壁にある蛍光灯のスイッチを何度かカチカチと押していたが、諦めて戻って来た。
「確かめてみます」
 中田が内線をかけるが、プーップーッという電子音すらしない。次いで彼は自分の携帯電話を取り出して、それにかけてみたが、結果は同じだった。ちなみに携帯電話の電波は三本立っている。彼は受話器を置いた。
「電話も通じません」
「そんなわけなかろう。停電でも電話は通じるんじゃなかったかね?」
 大久保が横から受話器を取り上げるが、それを天崎が制した。
「室長、ダメです。最近の電話は使えなくなるんですよ。停電と同時に。昔のジーコジーコする黒電話ならともかく」
「いまどき、そんなもの……」
 昨晩内線が通じたのは、すぐに復旧したから、ということか。
そこへ、建物の管理事務官がノックの後に入って来た。
「停電の状況ですが、しばらく復旧できないようです」
 内線も通じなくなって、全ての部屋をまわっているのだろう。肩で息をしつつの報告だった。
「たまらんな」
 大久保が額の汗を拭きつつ、近くにあった椅子に座り込む。
「原因は、やはりわかりませんか?」
 中田は、昨日の停電を思い出しつつ訊いた。
「わかっていません。付近では送電線の工事もしていませんし」
 それだけ言うと、一礼して事務官は退出した。この建物は六階立てだ。部屋の数も三十近い。大変である。
 ドアが閉まると、途端に暑苦しく感じた。そんなわけはないが、室温が急に上がったような錯覚を覚える。
 まだ、午前中である。通勤ラッシュは過ぎたとは言え、これから午後二時あたりまでに気温は三十度をかるく超えるだろう。地上のJR線などはまだよい。降りればよいのだから。地下鉄に乗っていた何万人もの乗客は、その暑さと暗闇の中に閉じ込められたのだ。すでに混乱が始まっていることは想像に難くない。
 それでも、中田たちにはどこか他人事、と楽観していたところがあったと言えよう。たかが停電と。すぐ復旧するさ、と。実際、昨晩は一分もせずに復旧したのだ。
 しかしその楽観は、裏切られた。
←人気blogランキングへの投票お願いしますm(_ _)mぺこ
この記事のURL | 連載小説 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://kobochan.blog83.fc2.com/tb.php/225-7c45f3da

| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。