2017 06 ≪  07月 12345678910111213141516171819202122232425262728293031  ≫ 2017 08
スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
Virus 9
2006/12/21(Thu)
「いいじゃないですか。ビデオはいつでも見られます」
 キャシーはつぐみをあやして、隣の部屋に連れて行こうとしていた。ふたりの反応には気付いていないようだ。
 ふたりは再度画面を見入った。レポーターが興奮した面持ちで状況を早口にまくしたてているが、同僚の安否への不安からか、耳にはいっていてもよく聞き取れない。ただ、下のテロップだけはかろうじて読むことができた。
『成田にて爆弾テロ!?死傷者七三名。エルトリア皇太子意識不明』
――!
 中田は混乱した頭で携帯電話に手をのばした。赤坂でもいい。塩見でもいい。とにかく確認をとりたかった。
 が、その手を杏子の冷たい手が押さえ、小さく首を振るのだ。今はまずい――そう、彼女の眼が言っている。
「あらあら。テロですか~?日本も怖いですね」
 いつの間にか盆に湯呑みをのせたキャシーが背後に立っていた。
 どうぞ、と言ってお茶を差しだすのを軽く頭を下げて受け取ると、中田は一気にあおった。
「熱っ」
 舌を火傷してしまった。
 慌ててキャシーは氷を取りに行き、杏子は哀れむよう眼で眺めやった。
 しかし、それが中田の心を落ち着かせた。
 中田が口の中で氷を転がしている間、キャシーから一通り説明をうけると、パンフレットに眼をやりつつ質問を始めた。当然、カリキュラムに関することがほとんどで、織倉一季に関する事は全く触れていない。エルトリアからの依頼は確かに彼の護衛であるが、同時に上層部から受けた命令はその彼の調査であり、このふたつを両立させるには、任務と警察官ということは伏せて近づいたほうが都合がよろしかろうとふたりは考えた。今日のところは、織倉一季という人間にどんなかたちにせよ接触さえできればよいのだ。

人気blogランキング
この記事のURL | 連載小説 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://kobochan.blog83.fc2.com/tb.php/20-abc6dc18

| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。