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Virus 71
2007/10/15(Mon)
「十七階にもどりますか?」
中田が杏子の背中に声をかけた。
杏子は天崎を振り返る。
「部屋のコンピューターは、死んでいましたね」
「そう。他の部屋にもパソコンくらいあるわよね?そっちは?」
 と、谷口に眼をやる。
 受けた谷口が渋々といった表情で、インカムに指示を送る。
 5、6秒で応えが返ってきた。
「電子レンジに入ったノートパソコンならあったそうだ」
 電子レンジで加熱されたパソコンが動くとは思えない。
「帰りましょ。ここにいても意味がないわ」
 杏子は、今一度太陽の光のなかに消えていった影を探して、それから、非常口に踵をかえした。

中田たちは谷口をその場に残して、天崎が確保したエレベーターで地下へおりた。混乱する地上のSAT、報道陣に紛れてビル周辺から抜け出すのは案外簡単であった。あとは少し離れた場所に駐めておいた杏子のロードランナーで退散すればよい――はずだった。
「あ」
 最初に声をあげたのは天崎だった。
 なるほど、フロントガラスとワイパーの間に黄色い紙がはためいている。
「駐禁ですね」
 と、中田。
「駐禁!?」
 杏子が駆け寄って、紙をむしり取る。裏、表と確認して、なぜかはわからないが太陽光に透かしてみる。
 そして、もう一度。
「駐禁!?」
 SATを抑えつけることもできる国家権力も、平時の路上では力を失うようだ。
「国土でも免許証、汚れるんですか?」
 先に乗り込んだ天崎に続いて、後部座席に座ろうと助手席を跨ぐ中田を両手で引っ張り出して助手席を戻した杏子が、その椅子をポンポンと叩く。中田は助手席らしい。
「非常時だし、室長に言えば汚れなくてすむけど、書類書くのがめんどい」
 バンっとドアを閉めて、杏子が前から運転席に回り込む。
 その間に、天崎が携帯をかけていた。
「はい。これから撤収します。――ええ、目標は確保されませんでした。さらにパソコンなどは、データを処分した後だったようで……。ええ、はい。ただ、収穫はありました」
 口調から大久保に繋げたのだとわかる。
不意に中田の肩が叩かれる。
「MOでしたよね?」
 天崎が通話口を手で被って訊いてきた。
「ああ。これだ」
 中田は、ジャケットの内ポケットからディスクを取り出し、天崎に手渡す。
「間違いありません。目標から直に渡されたものです。何かしらの情報にはなりますよ」
「なんかのウイルスかもしれないわよ?」
 運転席に着いた杏子が、エンジンをかけた。
特有の低いエンジン音と一緒に、座席に軽い振動が伝わる。
 一同は新宿を離れた。
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