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Virus 70
2007/10/07(Sun)
「どけ」
 中田たちの背後から野太い声がした。
 中田はMOを懐にしまいながら、身を引いた。立っていたのは、撤退したと思っていたSATの隊長だった。谷口といったか。
 谷口が左腕全体でシャッターを指し示すと、部下の三人が前に進み出、長身の銃を構える。
「かまいませんね?」
 谷口が杏子の隣に寄る。
「どうぞ」
「てーっ!」
杏子の返事が終わるか終わらないかのうちに、号令を発する。
三本の火線が、目の前の透明な壁を貫いたかに見えた。
 が、銃弾は壁にめりこむようになっただけで、数秒もしないうちにポトリと勢いもなく床に落ちた。見れば、シャッターには、弾がつくったはずの窪みどころか、傷もついていない。
 呆然とするSATを横目に笑い、キャシーは奥のドアから部屋を出ていった。
「追え!」
 谷口がすかさず命令し、隊員が部屋の外へ走り去る。
「まずいですね」
 天崎がぼやいた。
「なにが?」
 と、まだその場にのこっている谷口を気にしつつ杏子。
「自分がコントロールしそこなったエレベーター。たぶん、あの奥です」
 天崎がキャシーの出て行ったドアの向こうを見やったまま、図面をひらく。
 なるほど。この部屋の隣には小部屋になっており、出入り口はキャシーの出ていったドアのみ。隣接する他の通路、部屋から入ることはできない。そして、その部屋のあたりは他の階の図面だと侵入できない区画になっていて、最上階と地下でのみエレベーターの表記がある。ほぼ直通ということだ。
「なんてことだ」
 谷口がインカムにむかって、地下を抑えるよう怒鳴りつける。
「地下へ十七階分。屋上までは六階」
 杏子が天井を見上げた。
「地下はSATが抑えているとなれば、順当に考えて上でしょうね。ヘリでもあれば、ですが」
と、天崎。
「地下はまかせて、私たちは上!」
 杏子が身を翻し、中田と天崎が続く。谷口も追ってきた。
エレベーターホールに着く寸前に天崎が携帯端末を操作してドアを開け、四人が素早く乗り込むと同時に、上昇させる。
「隊長さん。一応聞いておくけど、空は見張ってないわよね?」
「銃刀法違反の捜索と聞いて来たんだ!」
 杏子の問いへの谷口の応えは、つまり想定外だった、ということだ。
最上階で、ドアを開いてローター音が聞こえた。
「冗談じゃなかったんだ」
 苦笑いする天崎。
「まだ、近いってことだ」
 谷口を先頭に、非常階段を駆け上がり、屋上の扉を開いた。
 聞こえていたプロペラの駆動音が増し、夕刻の陽の光が、高層ビル群の窓に反射し、辺りを赤く染めあげる。
 頭上ホバリングするヘリコプターの縄梯子に捕まった金髪の女性のシルエットが、投げキッスをよこした。
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