2017 10 ≪  11月 123456789101112131415161718192021222324252627282930  ≫ 2017 12
スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
Virus 61
2007/08/02(Thu)
 国土調査室に戻って、ふたりは今日聞いた話をまとめてみた。
 まず、北沢英二がエルトリア皇立研究所にて、竜骨石らしき物について研究をしているという手紙が、日本の元家族の元に届けられた。手紙には竜骨石について資料がほしいとあった。返事で元妻である加奈子は、竜骨石について記述のある神農本草経のコピーを送っている。ここで注意すべきは、記録に残っている中で、エルトリアに伝わる竜を冠する石は『ロード・オブ・ドラグーン』(日本名=竜導石)だけであり、竜骨石ではない点。ただし、竜骨石も後漢の時代にヨーロッパに送られていることも確か。
 次に、その手紙の一週間後に、湖の写真に紛れて道端の石ころの写真が二枚、娘である美可宛に送られてきた。差出人は美可の姉、絵里からであったが、筆跡はわざと下手に書いた英二のものだと、美可は断言している。
 石ころの写真は、神農本草経にある竜骨石の外観そのものであり、現在国立美術館に展示されている『ロード・オブ・ドラグーン』と呼ばれる青緑の宝石とは似ても似つかない。
 蛇足かもしれないが、写真にあった湖は英二が事故死したとされるカモミール湖である可能性が高い。また、絵里については死亡の確認はされていない。
 最後に、今回のエルトリア展で学芸員であり、美可の叔父、つまり英二の兄にあたる英寿は展示にあたり鑑定などはしていない。エルトリアが『ロード・オブ・ドラグーン』であると認めている宝石をそのまま展示している。
 杏子は手帳に、以上のように書き込むと、おもむろに愛用のパソコンの電源を入れた。
 フラッシュメモリを取り出し、そこから美可にコピーしてもらった写真を呼び出す。
画像ファイルは五つあって、石の写真だけではなく、同時に送られてきた五枚ともをコピーしてくれたようだ。
「ふむ」
 杏子は画像を全てプリンターに送り、次いで大手検索サイトを呼び出した。『カモミール湖』で検索し、表示された風景の画像を次々とデスクトップ上に並べていく。
 その間に中田は、壁際にあるプリンターまで出力された写真を取りに行った。
 一、二、三、四、五と枚数を数えて、それから杏子の元に戻る。何気なしに、その内の一枚を見て、中田は凍りついた。
 湖を背景にして、ピースサインをするひとりの少女。
 どうして気付かなかったのか。それは美可の双子の妹、絵里である。それは、間違いない。見覚えもあるはずだ。英寿に見せてもらった写真にも同じ顔があったし、美可の部屋でも写真をみた。だいたい双子なのだから、美可の顔を幼くしただけだ。
 しかし、中田は震えた。
 写真の女の子は、これまで見たどの写真とも違って、髪型はショートボブ。そして男の子っぽい服装ではなく、スカートを穿いていた。
――この娘には会ったことがある。
 初夏の終わり。あの空港での惨劇の日に、確かに中田は少女に会っていた。
←人気blogランキングへの投票お願いしますm(__)mぺこ
この記事のURL | 連載小説 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://kobochan.blog83.fc2.com/tb.php/157-5a8a4073

| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。