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Virus 49
2007/06/14(Thu)
 栄樹が指定してきたのは上野公園内の喫茶店だった。園内といっても屋外ではなく、冷房がきいていたのがありがたい。職員がよく利用しているようで、制服がちらほらと見える。
 中田と杏子が近づくと、北沢栄樹は椅子から立ち上がって会釈をしてきた。隣でそれにならった女性が加奈子であろう。資料の写真より若干老けて見えた。だが、口元は美可に似ている。
「おまたせしました」
 中田と杏子も会釈を返した。そして、北沢らの向かいの席に腰を掛ける。テーブルには二人分の皿と食べ残しがあった。
 中田の視線に気がついたのか、北沢は照れたように笑った。
「先にいただかせてもらいました。おふたりは、お食事をなさいましたか?」
「ええ」
杏子はそう応えた。が、実際には国土調査室のある永田町から上野まで急行したため、昼飯などはとってはいない。
彼は通りすがったウェイターをすかさず呼び止めた。 
「これを引っ込めてこちらの方々の注文を」
「かしこまりました」
 ウェイターは、ズボンの後ろポケットから紙を挟んだバインダーをとりだす。
「あと、私たちにはコーヒーをふたつ」
 北沢は自分たちを指差す。
 中田と杏子も「同じものを」と注文した。
 杏子が食事をとらなかったのは、もちろん理由がある。食事をすると、消化吸収のために内臓を支配する自律神経のひとつ副交感神経が相反する交感神経より優位になる。交感神経は脳への血流を促進し、行動的にする自律神経であるから、これを抑えることで相手を受動的にし、頑なな相手との交渉をスムーズにすることはひとつのテクニックだ。ここで自分たちも食事をしてしまったら、折角の優位な状況が崩れてしまうわけだ。

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