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Virus 47
2007/06/08(Fri)
「はい」と言って、振り返る中田に月刊古美術を手渡す。
「この頃は離婚していたじゃないですか?」
「それでも、仕事上はアテにしていたんでしょ。皇立研究所というだけあって、彼の研究はおそらく企業秘密どころか、国家機密に属していた可能性が大きい。彼をエルトリアに定住させる必要があったほどよ。ほしい資料があっても、その研究内容を母国といえど、他の研究者に知られるわけにもいかないし、ひょっとすると家族くらいしか連絡とれなかったのかもしれない。それで、元奥さんに頼らざるを得なかった。そして、彼女なら口外しないと信じていた。少なくとも彼の方はそうだったんじゃない?」
「資料を送ったのか。送っていたらその内容を知りたいですね。話、訊いてみましょう」
 加奈子の個人資料にある電話番号にかけようと中田が受話器をとるのを、杏子は手で制した。
「ちょっと待って。確か栄樹さんも一緒に住んでいたわよね?」
「そうです。警視ご自身がおっしゃっていたじゃないですか?」
「もう警視じゃないんだって。まぁ、いいけど。彼にも同席してほしいな」
 苦笑する杏子に「ああ。すみません、飯野捜査官」と訂正してから中田は「何か訊きそびれたんですか?」と訊いた。
 それに一度「う~ん」と杏子は唸って、こう応えた。
「根拠が弱い」
彼女は美可の記事のことを言っていた。
「日本で最大級の美術館の展示品よ。それもエルトリアとの友好年を記念してのイベントの一環であったわけだから、美可のこの発言は国際問題にもなりかねない爆弾発言だったわけよ」
 全くそのとおりである。例の成田でのテロにより、この話題は立ち消えたが、もしテロが起こらなけば、それこそ大騒ぎになっていたはずだ。いや、テロに便乗して事を曖昧にしたのは国の上層部かもしれない。そういう噂もあったのだ。
「それなのに、読んだ限りだと根拠が弱い。これだけの発言をしたら、敵をたくさんつくるのはわかっていたはず。だから、有無を言わせない程の、もっと直接的な根拠があったと思うわけ」
杏子は右のこめかみに右の親指をやった。「原稿が彼女自身か、もしくは他の誰かによって削られた可能性はありますね」
「そうね。彼女の生の原稿が読みたい。でもその前に、国立美術館の学芸員(キュレーター)にも会っておかないと」
「学芸員、ですか?」
学芸員とは、美術館等において作品の鑑定や、保存管理をする責任者のことである。当然、ロード・オブ・ドラグーンにもチェックした人物がいるわけだ。
「彼が何をもって、展示品を本物と断じたのか?それを知っておく必要があるわ。その根拠を覆せるほどの論拠を美可が持っているかは、それからじゃないと判断できない」
「ちょっと待ってください」
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