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Virus 5
2006/12/02(Sat)
話題の一季は、そんなことになっているとも知らずに、空港のパーキングエリアに車を駐めていた。運転免許を取って一年足らずではあるが、毎日乗り回しているかいもあってか、バックでの駐車をスムーズに一回でこなした。
外の空気はまだ肌寒いものが残っているものの、それでも春の陽気とあいまって、快適と言えるものだった。これが、もう一ヶ月もすると、梅雨のまとわりつくような生暖かさとなる。雨は嫌いではなかったが、あのじとっとした重い空気は好きにはなれなかった。だから、今日のような春のすがすがしさが、とても快い。
「到着は一一時三五分だっけ。まだ少しあるな」
 一季は腕時計で時間を確認してから、空港に向かって歩き出す。その頭上を太陽をさえぎるようにジャンボジェットのシルエットが過ぎ去っていった。

「警察の方ですか?」
 雑踏の中から、そんな声が耳に入った。
 見ると、空港の係員らしき人物に、二人の背広の男が手帳を見せているのが遠目でもわかった。あのような所作をする職業を、一季は警察官ぐらいしか知らない。
――何かあったのかな?
 数瞬ほど思考を巡らせると、すぐに答えにいきあたった。
――そういや、エルトリアの皇太子が日本に来るとか朝刊に載ってたな。
 エルトリアが東欧の小国ということは一季も知っていた。今、上野にある国立美術館で『エルトリアの秘宝展』なるものが催されており、バイト先の娘さんから連れて行けとせがまれていたからだ。聞くところによると、彼女の故郷であるらしく、その父親である塾長も今回、祖国で急用のためにエルトリアに帰っていた。
 その皇太子様とやらを見ておくのもよいかも、と思わなくともなかったが、塾長との待ち合わせが、一階のエントランスであったので、一季は三人の男がエスカレータで上に行くのを目で追うに留めた。
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