2017 10 ≪  11月 123456789101112131415161718192021222324252627282930  ≫ 2017 12
スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
Virus 39
2007/05/10(Thu)
美可のマンションを出たときにはすでに陽が傾き始めていた。
電車に揺られて新宿経由で池袋まで戻り、そこで杏子を残して、中田だけホームに降りた。ドアはすぐに閉まり、やがて電車が熱い排気と共に動きだす。ドアのすぐ近くにいた杏子の手が小さくバイバイをした。どう返したらいいか悩むうちに、最後尾の車両すら過ぎ去っていた。
アパートに帰ると、閉め切っていたワンルームはムッとした熱気で満ちていたが、窓を開け放して空気を入れ替えれば、午前中に掃除していたかいもあって、すがすがしいとさえ感じられた。
なんとなく明日にしようと思っていた洗濯物の紙袋を下げて、近くのコインランドリーに向かった。
待っている間、ある月刊誌のバックナンバーを開いて読むことにした。織倉一季護衛のおり、彼が捨てた美可の名刺に名が印刷されてあった雑誌だ。
月刊古美術――。三ヶ月ほど前、この雑誌はエルトリア秘宝展の特集を組んだ。その中で、出展品のひとつ『ロード・オブ・ドラグーン』が真っ赤な偽物であるとすっぱぬいた記事が、美術界の関心を大きく集めた。もしも成田でのテロがなければ、美術界に留まらず、世間でもっと大きな話題となっていたかもしれない。しかし、現実テロは起きた。そのため、事の真偽は有耶無耶にされ、美術界でもこのことに触れるのはタブーとされるようになったのだが、その記事を書いたライターが、広瀬美可であった。
そのことを思い出して、今一度眼を通そうと思い立ったのだ。

←人気blogランキングへの投票お願いしますm(__)mぺこ
この記事のURL | 連載小説 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://kobochan.blog83.fc2.com/tb.php/109-38cd4492

| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。