秒速5センチメートル |
2007/08/16(Thu)
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秒速5センチメートル。
桜の花びらが散る速度なのだそうな。 今年の春、東京・渋谷のシネマライズなどで公開された作品です。 お盆休みの最終、DVDを借りてきました。 新海誠の『秒速5センチメートル』。 まず、映像美にやられました。 風景写真をデジタルペインティング加工して 背景としてつかっているということですが、 アニメーション美のひとつの到達点といえるでしょう。 内容は、1人の少年を軸に、 独立した3本の作品から構成される連作短編アニメ。 小学校の卒業と同時に離ればなれになったふたり。 恋心を抱きあっていた2人が、ある大雪の日、会いに行く。 その後の少年に恋する女の子の視点から描いた「コスモナウト」、 彼らの魂の彷徨(ほうこう)を切り取った表題作「秒速5センチメートル」 郷里に帰って、ふと昔の夢をみました。 いまでも忘れられない人がいます。 何度も思い出す後悔があります。 これからも大切にしていきたい思い出があります。 そんな想いが胸を掻き乱し、声にならない叫びで起きました。 自分のものであって、少し変わってしまった部屋。 蝉時雨。 だからでしょうか。この作品を手に取っていました。 遠くに引越しをしたことのある人。 遠くへ大切な人が奪われことのある人。 自分の想っている人が、 遠くの誰かを見ていることを知った苦しみを知っている人。 そんな方々には共感するところがあるのではないでしょうか。 そういう経験がなくても、なにか心の奥にくるものがあると思います。 ←人気blogランキングへの投票お願いしますm(__)mぺこ スポンサーサイト
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Virus 63 |
2007/08/16(Thu)
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大久保は、入ってくるなり捜査令状を拡げた。
「令状?何の?」 杏子が受け取り、目を通す。 令状は、日本橋のオペラタワー十七階、遠藤ラジオ工業(株)の家宅捜索。発令が本日十八時。いまか十四分前だ。操作名目は銃器不法輸入、及び同不法所持。 「遠藤ラジオ工業?聞かない社名ですね」 と、中田。 「私も初めて聞いたな。CMなんぞ流したこともなかろうな」 応える大久保が上着をゴソゴソしはじめたので、中田は近くにあった灰皿を近寄せようと手だしたが、照れ笑いとも、気まずそうともつかぬ顔でそれを遮ると、取り出したのは禁煙パイポだった。 「禁煙はじめたんですか?」 「昨日宣言したのよ」 五回目だけど、と杏子は付け足した。 「で、その家宅捜索が何か?」 「名目は銃刀法違反だがね、あくまで表向きだ。I.T.HAZARD、覚えているだろう?」 大久保が発した単語は、中田の記憶にも新しい。 半年前に突如として起こったそのネットワーククライシスは、交通管制システムのシャットダウン、発電所の制御不能、証券取引等金融システムの停止及び情報の破損等々。たった一秒の局所的な停止だが、与えた影響は測り知れない。だが今尚、原因不明のまま、そのままのシステムで社会は運行していた。 「そのI.T.HAZARDの発生源だが、昨日、ここだと特定された」 大久保は、机に置かれた令状をトントンと指で突いた。 ←人気blogランキングへの投票お願いしますm(__)mぺこ |
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